後期教育が三ヶ月あり、それが終わっていよいよ空挺教育隊に入校することとなる。
しかし、これも試験があり、まず飛べるか飛べないかで、ふるいにかけられる。
真っ先に突き落とされるのだ。
もちろん飛出し塔からロープつき、ワイヤーつきだが、これがけっこう怖い。
志願してきても、この土壇場になって怖くなり、どうしても飛べないやつがいた。
それでアウト、さようなら、というわけである。
また、最後の身体検査でレントゲンを撮り、腰に異常があったり、長いことやっているうちに障害が出てきそうなやつもアウトだった。
さて、怪談――。
隊舎のわきにふるいトイレがあった。
これはまったくの進駐軍のアメリカ様式のトイレだった。だから大のほうも真ん中だけ隠して、顔と足は丸見えという日本人にはたえられないものだった。
そこで真夜中、ある一人がトイレのほうから軍歌が聞こえてきたという。
だれかが歌っていたのだ。聞いたがそんなやつは誰もいない。
怖いと思ったが、じつは同じ時期、おれにも似たようなことが起こった。
しかもまっ昼間――。ありえね~~~ ことが実際に起こったのだ。
おれは洗濯をしていた。数人もいて、やはり洗濯をしている。
おれは洗濯機が止まるのを待ちながら洗面所のほうにいて鏡を見ていた。
すると、奥のほうから――
「うお~~~~~~~~~~~」
という声が聞こえた。なにか――突撃する雄たけびのような、悲痛で悲しげな、しかもめちゃくちゃ大きな声だった。
はっと思ってすぐさま、声のした洗濯機置き場のほうに行って、がばっと見たのだが、みな平然として思い思いに洗濯をしていた。
あまりの平静さに問いただす気にもなれなかったのだが、やっぱりおれは聞いた。
あれはふつうの感性では出せない切羽詰った声だった。
おれだけ聞こえたのだろうか。
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