十二単の姫君
それはいきなりの咲夜姫の来訪だった。
気がついたら目の前に十二単のお姫様がいた。
彼女の着ている衣装はまったく非の打ち所がない十二単そのものだった。
柄は目の覚めるようなコバルトブルーで、品のいいシンプルな柄が織り込まれていた。
柄まで覚えているのは不可能だったが、ふつうの和服の柄とまったく同じだった。
やがていつのまにか抱き合っていた。
おれも美しい姫君にメロメロになってしまい、無我夢中できつく抱きしめていた。
それもそのはず、姫君の顔は「竹取物語」のかぐや姫そっくりだったのだ。
かぐや姫などだれも見たことないだろうが、それでも〈かぐや姫〉だ!と思うほどの美しさだった。目は切れ長・丸顔・色白で、当時の女性特有の黒く長い髪を垂らしていた。
おれは抱きしめながら姫の大きさに隠れてしまうほどだった。
抱きしめているのに逆に抱きしめられているような感覚になった。
おれは――変な話だが――母親に甘える子供のように、夢中でそのおおきな背中にしがみつきながら、ずっと咲夜姫の鮮やかな青色が映える大きな背中だけ見ていた。
それだけおおきな咲夜姫の中に飲み込まれていたような気がする。
別の日にはたくさんの(十人くらい)女性がいた。
どれも長身でプロポーションがよかったが、肝心の咲夜姫がだれなのかわからなかった。
彼女たちは咲夜姫を守るように取り巻いているような気がした。
だったらあの中心辺りにいるはずだ。
しかし、咲夜姫を見つけ出すことが出来ないので、多少いらいらしてきた。
「お嫁さん――!」他に言葉が見つからなかったので、そう呼んだ。心の中で念じたのだ。
すると、中から子供が出てきた。身長が半分くらいしかない。小学生といってもいいくらい幼い少女だった。たぶんこれが咲夜姫なのだろう。
そしておれはそのとき咲夜姫と結ばれた。
彼女はなぜかおれを男として認識していて、おれもまた彼女を女と認識していた。
そのとき何があったのかは、ご想像にお任せしよう。
たぶんそれから数日経ってからのことだろう。
そのときおれは次元転換していた。金縛りというよりも、普通に世界が切り替わっているような感じだ。そんなことはすでに日常茶飯事になっている。
いつの間にか、二人の女とバスに浸かっている。洋式のお風呂だ。
女たちは背が高く顔は月並みだ。よくもなく悪くもない。
しかしおれはいつものくせで女の下半身にいたずらした。
女は感情を悟られまいとしてか、平静を装っていた。しかしどうやら困っていてどう対処したらいいかわからないらしい。
まわりは暗がり――遠くのほうでだれかこっちを見ていた。
中隊の人間の背後霊なのではないかと思った。おれたちのやっていることに興味津々らしい。
そして、いつのまにか目が覚めていた。
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