これは自衛隊をやめてからお宮へ行って泊まったときのことだったろうか。
この時点でもおれには自殺志向があった。いろんなことで悩んでいたのだ。
おれは昔と同じように財務課と庶務課の間の広まったところに寝た。
夜半だった。
特に怖い気持ちはしなかった。それよりか爽快感があった。
なぜか老婆が枕元にいた。それを見てもおれは怖く感じなかった。むしろ安心感があった。
とてもやさしい感じだった。ふくよかというよりも痩せ型でがりがりで、幽霊で出てこられたらかなり怖かったに違いない。
でも、この老婆は気分がよさそうで、気持ちよく仕事をしていた。
――仕事。そう、おれの魂の緒をもてあそんでいたのだ。
いや切ろうとしていたに違いない。
もつれた糸を楽しそうにほぐしていた。鼻歌まで歌っていた。
紐は肉状のビラビラしたものだ。
何度もほぐして一つ一つといているようだった。
おれは死にたいと思った。死ねば咲夜姫の元へいけると思った。
だが、やはり土壇場で怖くなった。もっと生きたいと思った。
「うわ~~~」と、おれは力を出して抵抗した。
瞬間、老婆は驚き、手を話した。いきなりの抵抗にビックリしたに違いない。
〈えっ覚悟はしてないの?〉と、驚いたのだろう。
そしておれは、現実へともどった。
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