これは通信演習のときだった。
部隊は富士演習場を行軍していた。
しばし休憩ということになり、休む場所を探して林の中に入っていった。
すると、やはりどこからともなく美しい虫が現れた。
それはかなり大きく、二センチくらいの立派な体をしていた。
驚いたのはその美しさだった。
緑や黄色などの縞模様がまるで内側から光を発しているように、光り輝いているようにも見えた。
お尻には二つの角のような突起がついていた。しかし、針のような攻撃的なものではなかった。
一分くらい見ていたが、こんどはおとなしく一箇所に空中停止していて、僕にその美しい姿を披露しているようだった。まったく美しい虫だった。
富士山には不思議な虫が多くいるというが、これも咲夜姫の化身なのではと思った。富士山にくると必ず出てくる不思議な虫たちは、他の場所――たとえば習志野演習場ではたくさん虫がいるだろうが、こんな体験はしたことがなかった。
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