富士演習――もう何度来たことだろうか?
とっくに本宮をやめたはずなのにいまだに富士山と縁が切れてないのが不思議だ。
夕方演習場につく。定例のごとく真っ先に富士山に挨拶する。
神様のほうが感づいているのかいないのかまったくわからないが、しかしやってしまう。
あらら――真っ黒だ。
もう五月だったが残雪はまだのこっている。そして、汚いことに雪解けの途中で地肌が露わになっているところが方々にあり、砂塵なのだろうか薄汚れて、全体が煤をまぶしたミンクのコートのようだった。
あせをたらたら流して
心の中で“みっともね~~”とか思ったが、神様には聞こえないだろうと思った。
やることがないので宴会をやってテントで寝た。
朝方、やけに冷えるなあと思って目を覚ましてみると、
な、なんと、富士が雪化粧しているではないか?
真っ白けになって済ました顔して得意げに、
「どう、これで……」
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